Webサイトは、事業の目標に応じて大きく5つのWebサイトモデルに分類することができます。それぞれのWebサイトモデルに合わせたKPI、KGIの設定が必要となります。
今回はWebサイトモデル別にどのようなKGI、KPIを設定すれば良いのかを見ていきましょう。
5つのWebサイトモデル
Webサイトは以下5つのモデルに分類することができます。
イーコマースモデル
イーコマースモデルとは、ネットショップなどのWebサイト上で売買・決済が行われるサイトのモデルになります。コンバージョンが売上に直結するモデルです。そのためKGIは売上金額や増加率が主な指標となります。
リードジェネーレーションサイトモデル
リードジェネーレーションサイトモデルとは、Webサイトからお問い合わせや資料請求などを獲得することが目標となるサイトのモデルになります。
お問い合わせ数、資料請求数、その後の商談からの契約数などが事業成果となります。
メディアサイトモデル
メディアサイトモデルとは、ニュースの記事やまとめ記事などのポータルサイト、企業が運営するWebマガジンなどのオウンドメディアが該当します。
広告収入や、企業の認知度の向上、購読者数・会員数の拡大、などが主な目標となります。
サポートサイトモデル
サポートサイトモデルとは、商品やサービスを購入したユーザーなどに、使い方・質問・意見など、ユーザーをサポートすることを目的としたサイトのモデルになります。
昨今ではコールセンターなどの業務を削減するために、商品やサービスごとにサポートサイトを設けるケースが多いです。
これらサポートサイトの目標は、ユーザーの商品やサービスの悩み・問題をいち早く解決することにあります。
アクティブユーザーモデル
アクティブユーザーモデルとは、スマートフォンアプリや、オンライン継続利用型のサービスを提供しているサイトモデルとなります。
細分化するとさらに、「サブスクリプション型」と「都度課金型」があります。
KPI、KGIはWebサイトモデルに合わせて設定していく
Webサイトモデルごとに定める目標値は違います。どのような目標値を定めるべきなのかを見ていきましょう。
KPI、KGIって何?という方は以下をご参考ください。
イーコマースモデルのKPI設定の例
イーコマースモデルのKGIは主には売上になります。そのため以下のようなKPIを定めていきます。
KPI | 内容 |
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新規購入者数 | 新規購入者数の指標。リピート者数とは施策内容や獲得コストが異なる |
リピード者数 | リピート購入者数 |
購買頻度 | 購入者の商品購買頻度 |
購買回数 | 商品の購買回数 |
客単価 | 購入者一人あたりの客単価 |
商品ページ閲覧数 | 商品ページの閲覧数。どのような商品がよく見られているかを分析する。サイト検索でどのような商品名で検索されるかも参考にする |
商品ページ直帰率 | 商品ページの直帰率 |
ショッピングカートへの投入数 | 商品が購買される意欲があったかどうか |
ショッピングカート放棄率 | なぜカートに入れてから購入に至らなかったかなどを分析する |
サイト外での注文数 | 電話・FAX、郵送などから注文についての指標 |
・CPC ・CPA ・ROAS ・Advertising Spend | 広告展開を行っている場合、これら指標を商品ごとに分析する。 ・商品の広告に関心があるか→CPC ・広告が購買につながっているか→CPA ・広告費に対して十分売上をあげられているか→ROAS |
注文後のキャンセル率 | 注文後にキャンセルされた数。キャンセル要因を調査する |
返品率 | なぜ返品となったかを調査する |
リードジェネレーションサイトモデルのKPI設定の例
リードジェネレーションサイトモデルの主なKGIは「成約数」、「受注金額」になります。
KPI | 内容 |
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コンバージョン率 | お問い合わせなど、商談、受注に繋がる指標 |
商談率 | お問い合わせ後、商談に結びつく確率。お問い合わせがあっても、商談→受注へと結びつかなければKGI達成にならないため、商談への結びつけまでのプロセスを最適化させる |
受注率 | 商談後、受注となる確率。受注率を上げるには商談を最適化させる必要がある |
オフラインでのお問い合わせ数 | 電話など、オフラインでのお問い合わせのうち、どの方法が成果に結びつくかを測定する |
・CPC ・CPA | 広告のクリック率やコンバージョン率のコスト等を算出して、受注率と比べ、広告の費用対効果を測定する |
見込み客リスト獲得数 | メールアドレス取得数など、見込み客リストを獲得するための施策を測定する |
取引規模 | 受注した取引規模。規模が大きいと単純に成約金額が高くなる |
メディアサイトモデルのKPI設定の例
メディアサイトモデルの主なKGIは、購読者の拡大と定期的閲覧獲得になります。その他に、広告収益を目的としている場合、広告収益の拡大、商品やサービスの認知・ブランディングを目的としている場合は、それらをKGIとします。
KPI | 内容 |
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PV数 | 閲覧ページ数 |
セッション数 | ユーザーセッション回数 |
ユーザー数 | サイトを訪問したユーザー数 |
滞在時間 | ユーザーがサイトに滞在した平均セッション時間 |
・ページの直帰率 ・ページの離脱率 | 1ページのみでの離脱率 |
SNS経由の流入数 | SNS経由での流入数 |
SNSでのシェア数・コメント数 | SNSでユーザーのコメント数、ネガティブコメントを含めたコメントを計測 |
メールマガジンの購読数・解約率 | メール配信数、購読数、解約数などを計測 |
・広告のインプレッション数 ・リーチ数 ・クリック数 ・CTR ・CPC ・CPM | 広告がどれだけのユーザーに見られたか 広告の表示によってサイトに訪問したユーザー一回あたりのコストや、インプレッション1,000回あたりのコストを計測する。 以下のような施策を行い、KPIの成果を高めるようにする。 ・サイトのUI・UXの見直し ・コンテンツページに関連記事やおすすめ記事などの導線を貼り、他ページへ誘導する。 ・精読率を計測し、コンテンツの質を確認する |
サポートサイトモデルのKPI設定の例
サポートサイトモデルの主なKGIとしては、顧客満足度を上げる、といったものになります。サポートサイトの最適化は、サポートサイトにある情報が不足していないかどうかを精査したり、すでにある情報がユーザーの役に立っているかどうかを計測したり、サイトが使いやすいかどうかなどを見直し改善していきます。
電話でよく受ける質問やお問い合わせなどは、それらをしっかりサポートサイトに記載しておくことで電話応対のコストを削減することができます。
KPI | 内容 |
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サポートサイト経由でコンバージョンしたセッション数 | コンバージョンはセッション単位で測定する |
サポートサイトを経由して商品情報ページを閲覧したユーザー数 | ユーザーの求めているニーズを満たしていたかどうか、商品・サービスに興味を持ってもらえたか、潜在・見込み客への販促活動や、リピート購買のきっかけとなっているかなどを分析する |
サポートサイトのページの価値 | ページを経由した売上÷ユニークページビュー数をページの価値として定義して、コンバージョンに近いページほど、ページとしての価値が高いと判断する |
不十分な内容からのお問い合わせ | お問い合わせ電話番号が記載されているページや、お問い合わせフォームページなどに遷移したユーザーを計測する |
・サポートページの内容の満足率 ・サポートページの内容の不満率 | 「この内容は役に立ちましたか?」などのアンケートボタンをコンテンツ末尾に設置して、サポートサイトの内容の満足度を計測する |
精読率 | ヒートマップツールやインタラクション解析を用いて、ページごとのスクロール到達率を計測する |
サポート動画の再生回数 | 商品やサービスの動画を配信している場合は、その動画の再生回数や視聴時間等を確認する |
サポートに対するアンケート結果 | 会員などにアンケートを実施してサポートの質を定期的に確認する |
・サポートサイトページの直帰率 ・サポートサイトページの離脱率 | サポートサイトの場合、ページの内容がわかりやすく、端的に記載されている場合、直帰率等は高くなりやすい。ただ、不十分で離脱している場合もある どちらの傾向にあるかを計測し、不十分での直帰の場合は、内容を拡充したり、別のページへ誘導させるようにする |
サポートサイトのサイト内検索結果 | 検索結果件数、サポートコンテンツのセッション数、検索内容などを計測する |
・コールセンターの受電数 ・コールセンターコスト | 電話でのお問い合わせ件数、お問い合わせ内容、それによるコストを計測する |
PV数 | ページビュー数が少ないサポートページなどは、1つのページに情報をまとめたりすることで、サイトの維持管理コストを削減できる |
アクティブユーザーサイトモデルのKPI設定の例
アクティブユーザーサイトモデルの主なKGIは、売上になります。そのためのKPIですが、「サブスクリプション型」と「都度課金型」で変わります。
アクティブユーザーサイトモデルではユーザー単位で成果評価を行うようにします。
KPIの主なものとしては、「ユーザー数」、「継続率」があります。
KPI | 内容 |
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DAU(Daily Active Users) | 一日に利用した人数 |
WAU(Weekly Active Users) | 一週間に利用した人数 |
MAU(Monthly Active Users) | 月間に利用した人数 |
課金率 | 期間中どのくらいのユーザーが支払いをしたかの割合。「スペンド率」とも言う。 |
ARPPU | 「アープ」と言い、課金した人の平均単価のことを言う。ECサイトなどの「平均購入単価」と同じように、一定期間中に平均でいくらお金を落としたのかを意味する |
継続率 | サービスを続けて利用しているユーザーの割合のことを言う。 例として、100人のユーザーが一週間後に30人戻ってきた場合、「7日後継続率は30%」となる。その場合、7日内に戻ってきたユーザーや、7日後に戻ってきたが利用しなかったユーザーはカウントしない。あくまで「その日の利用者」といった指標でカウントする。 |
チャーン率(解約率) | サブスクリプション型のサービスなどの解約率のことを言う。サブスクリプション型ではこのチャーン率を下げることがKGI達成のために重要なKPIとなる |
WebサイトモデルによるKPI設定のまとめ
WebサイトモデルによってKPI設定はさまざまです。どのようなKPIを設定することで、KGIを達成できるかは、ビジネスモデルと合わせて複合的に考え、KPI設定をしていくことが大切になります。よければWebサイトモデル別によるKPI設定の参考にしてください。