Webサイトは改善を繰り返していくことでしっかりと効果を発揮することができます。
これまでWebサイトの改善を全く行っていなかった場合はもちろん、改善を行っているが「思った成果に結びつかない…」「予算ばかりかかる…」などの場合、そもそも改善施策自体を間違えているかもしれません。悪質な広告代理店や制作業者では、あまり意味の無いWebサイト改善施策の提案をされる場合もあります。
ではどのようなWebサイト改善を行えばいいのか?について一緒に見ていきましょう。
上司さん
ねえねえ、田中くん
この前改修したWebサイトで、なんか全然お問い合わせが来なくなったってお客さんからクレームが来たよ
田中くん
あれ?おかしいですね…
この前サイトを改善した時は、コンバージョン率も大きく改善されていたと思いましたが…
上司さん
だよねー、何が原因かわかる?
こりゃ調べて改善しないとだね
田中くん
いま見てみましたが、数値はそこまで悪くないようですが…
もっと直帰率を下げるよう工夫してみますか?
上司さん
ん?ちょっとまって
上司さん
……あっ
上司さん
この前EFO行った時に、僕がお問い合わせのメールアドレスの設定間違えてたかも…
田中くん
……
上司さん
田中くん。今直したから、田中くんから先方に説明しといて
よろしくね
田中くん
(えっ)……ぼ、僕がですか…
まずはWebサイト改善の目的を考えよう
まずはWebサイト改善の目的について考えてみましょう。
なぜ、ホームページを改善するのか?改善してどのような結果を生み出したいのか?などについて今一度考えてみます。
よくある失敗例として、本来の目的はWebサイトから売上を増やすのが目的であったにも関わらず、「売上アップにはアクセスを増やすべきだ」といったように安易に考えて施策を行い、結果的に施策にコストがかかりすぎたり、別の要素が原因でなかなか成果が上げられなかった、といったことがあります。
田中くん
まずは、なぜWebサイトを改善するのか?その目的についてズレないようにするのが大切ですね
大切なのは「なぜWebサイトを改善するのか?」について今一度深く考えてみることです。
現状を把握してWebサイトの改善施策計画を立てる
まずは、現状を把握してサイトの改善施策の計画を立てていきましょう。
上司さん
現状をちゃんと分かっていなかったらどこを改善すればいいのかもわかんないよね
ここでは例として、企業のWebサイトで売上を目標売上まで伸ばすための改善施策について考えてみます。サイトモデルは一般的なリードジェネレーションタイプで、お問い合わせをもらい受注・成約して売上を上げるモデルとします。
まずは現状の参考例について見ていきましょう。
参考例(改善前)
自然検索数 | 10,000 |
---|---|
セッション数 | 10,000 |
直帰率 | 73% |
回遊数 | 2,700 |
回遊離脱率 | 70% |
フォーム到達数 | 810 |
フォーム離脱率 | 90% |
コンバージョン率 | 0.8% |
コンバージョン数 | 81件 |
商談率 | 25% |
商談数 | 20件 |
受注・成約率 | 50% |
受注・成約数 | 10件 |
平均客単価 | 1,000,000円 |
売上金額 | 10,000,000円 |
目標売上金額 | 15,000,000円 |
参考例図(改善前)
サイトの構造の理解については以下記事をご参考ください。
参考例の現状から売上を1,500万までに伸ばす方法について考えていきます。
目標売上を達成するには、受注・成約数を1.5倍の15件にまで伸ばす必要があります。
ここでは客単価や商談率、受注・成約率を改善することは考えないこととします。
重要なのが、単に「アクセスアップしよう」、「コンバージョン率をあげよう」といった目標を立てるのではなく、あくまで本体のビジネスの目的(売上1,500万:KGI)からサイトのどの箇所を改善すれば良いのか具体的に考える(KPI、KSF設定)ことがとても重要です。
この考え方を間違えると、余計に予算がかかった改善施策になってしまったり、本来のビジネスの目的からずれていってしまう場合があります。
Webサイトの構造から見る改善ポイントの把握
現状の把握をしたら、具体的にWebサイトのどこを改善すればいいのか?について考えます。
改善ポイントによっては目標達成への難易度が大きく変わってきます。
そのため、まずは現状のWebサイトからどこを改善すればいいのかについて、目標数値から逆算して考えるようにしましょう。
田中くん
改善するポイントによっては、かかる時間や予算も大きく変わるから慎重に考える必要がありますね…
改善ポイント1:サイトへの流入数
根本的なサイトへの流入数について改善が必要か考えてみます。流入数を増やす方法はSEO対策を行い自然検索数を増やすか、リスティング広告など、広告を用いてアクセスを増やす方法などがあります。
現状の例の場合で言えば、自然検索数を15,000までに伸ばすことで、目標売上の1,500万を達成できる計算になります。
セッション数15,000件→回遊数4,050件(直帰率73%)→フォーム到達数1215件(回遊離脱率70%)→CV数121件(フォーム離脱率90%)→商談数30件(商談率25%)→受注・成約数15件(受注・成約率50%)
サイトの流入数を増やす改善は、サイト指標数の絶対数を底上げする方法なので目標達成にも結びつきやすい改善でもあります。
しかし、方法によって時間がかかったり、コストがかかったりしますので、よく考えるようにしましょう。具体的な方法については後述します。
改善ポイント2:ランディングページの直帰率
ランディングページの直帰率について改善が必要かどうか考えます。
直帰率については、業種ごとにある程度の平均値があります。同業種のモデルサイトより直帰率が低いと思われる場合は改善の必要性があります。
現状の例でいえば、直帰率を60%にまで下げることができれば、目標達成ができる計算になります。
セッション数10,000件→回遊数4,000件(直帰率60%)→フォーム到達数1200件(回遊離脱率70%)→CV数120件(フォーム離脱率90%)→商談数30件(商談率25%)→受注・成約数15件(受注・成約率50%)
具体的な直帰率を下げる方法としてはLPO対策を行い、ランディングページの直帰率を改善します。
しかし、コンテンツの内容によっては直帰率を下げることが難しい場合もあります。
たとえば、1ページ1アクションを前提としたリスティング広告用のランディングページなどは、外部離脱を防ぐために、あまりリンクを置きたくない、といった場合があります。そういったページはそもそも回遊性を考えていません。
さらに、ページの内容によっては直帰率が高いことが必ずしも悪いことではない可能性もあります。
緊急性が高い情報などでユーザーが検索を行い、コンテンツにたどり着き、求めていた情報を得て満足することができたのであれば、当然そこから直帰に結びつくのは自然な流れです。
無理して情報を増やしたり、関連リンクを張り巡らせては、ユーザーにとって逆に情報がわかりにくいサイトとなってしまいます。そのようなサイトに改悪する必要はありません。
ランディングページが多く、どのページを改善すればよいかわからない場合は、加重直帰率から改善が必要なランディングページを考えてみると良いでしょう。
改善ポイント3:サイトの回遊性
Webサイトの回遊性について改善が必要か考えるようにしてみます。
Webサイトの回遊離脱率が高い場合は回遊性が悪い可能性があり、改善を検討する必要があります。
参考例の場合、回遊離脱率を55%にまで改善することができれば、目標達成ができることが分かります。
セッション数10,000件→回遊数2,700件(直帰率73%)→フォーム到達数1215件(回遊離脱率55%)→CV数121件(フォーム離脱率90%)→商談数30件(商談率25%)→受注・成約数15件(受注・成約率50%)
回遊性が悪い主な原因としては、分かりやすく適切な形でリンクが設置されていない、などがあります。
サイトの種類や利用するユーザーシーンにもよりますが、あまりにも業界標準のWebサイトからかけ離れたUI・UXのWebサイトはユーザーから疎まれます。
綺麗で奇抜でスタイリッシュなデザインのWebサイトを作成したとしても、それがユーザーにとって使いにくいものであったのなら、ただの自己満足でしかありません。Webサイトはユーザーに利用してもらえなければ価値がありません。
まずは、各リンクの設置方法は適切かを見直し、フォームページへの導線を分かりやすく効果的なものになるよう工夫したり、チャットツールなどを使いユーザーからのアクションを行いやすくしたりなど、回遊離脱率を改善する工夫を行いましょう。
改善ポイント4:フォーム
お問い合わせをもらうためのフォームなどについて、改善が必要かどうか考えてみます。
フォーム離脱率が高すぎるとせっかくフォームページまでうまく誘導できたとしても、フォームページで多くのユーザーを取りこぼしてしまっていると言えます。
その場合、EFO(エントリーフォーム最適化)を行い、フォームページからのユーザー離脱を防ぐ施策を行います。
参考例の場合、フォーム離脱率を85%にまで改善することできれば目標達成できることが分かります。
セッション数10,000件→回遊数2,700件(直帰率73%)→フォーム到達数810件(回遊離脱率70%)→CV数121件(フォーム離脱率85%)→商談数30件(商談率25%)→受注・成約数15件(受注・成約率50%)
改善ポイント5:コンテンツの改善
Webサイトのコンテンツについて改善が必要かどうか検討してみましょう。
他の改善ポイントと重なる点が多いですが、サイトのコンテンツを改善することで、ユーザーの直帰率や回遊離脱率を下げ、Webサイトへのリピーターを増やし、さらにはSEOにも効果的になります。結果コンバージョン率アップにも貢献する形となるため、サイトのコンテンツの見直しは重要です。
改善ポイント6:サイトの速度
サイトの速度について改善が必要か考えます。
他の改善ポイントと比べて、内容がすこしテクニカルでもあり、抽象的にも思える改善ポイントでもあります。
しかし、サイトの速度というものはとても重要です。
ユーザーが待てるのは2秒まで、3秒以上は離脱する
昨今ではスマートフォンでのインターネット利用が主になってきた背景から、サイトの表示速度というものがとても重要視されるようになってきました。
一般的にユーザーがインターネットからあるページにアクセスしてから待てるのは2秒まで、3秒以上コンテンツが表示されない場合は離脱する、とデータがあります。サイトの内容によっては3秒以上ロードに時間がかかるようなページも多くあり、そういったページは改善が必要になります。
サイトの表示速度はSEOに影響する
Webサイトの表示速度はSEOに影響するとGoogleが公言しています。サイトの表示速度が早いと上位表示されるというわけではありませんが、著しく遅いサイトだと上位表示されなくなる可能性があります。
Webサイトの具体的な改善方法
ここでは具体的な改善施策について見ていきましょう。
上司さん
改善すべきポイントが分かったら、次は具体的な改善方法について見ていこうか
改善施策ごとに、かかる時間やコスト(イニシャルコスト・ランディングコスト)が全く異なります。
いつまでに目標を達成すればいいのか?予算はどのくらいか?を考えて改善施策を検討することが大切です。
改善方法1:サイトへの流入数を増やす方法
サイトへの流入数を増やす方法は、サイトの絶対数を底上げする方法なため、最も目標を達成しやすい方法でもあります。具体的な方法は、SEO対策を行いサイトの自然検索数を増やすか、リスティング広告など広告を用いてアクセスアップを狙う方法があります。
SEO対策で自然検索数を増やす方法
SEO対策を行い自然検索数を増やして全体のセッション数の底上げをします。この方法は時間がかかる施策方法であり、すぐに成果を上げることはできません。さらには狙ったキーワードで競合が多い・競合が強い、などの場合はそもそもアクセスアップすら難しい場合もあります。
しかし、SEOで上位を獲得することができれば、ほとんどコストがかからず大きなアクセスがアップが望めるため、一番理想的なサイトへの流入を増やす方法とも言えます。
- 自然検索数改善施策のメリット
- サイトの絶対数を上げることができる
- 検索上位表示できれば大きなアクセスアップが望める
- ランニングコストがほとんどかからない
- 自然検索数改善施策のデメリット
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 業種・キーワードによっては成果の望みが薄い
- 施策内容によってはイニシャルコストが大きくかかる
目標達成を一年後などに計画している場合は、改善策1に取り組んでも良いでしょう。逆に短期間で目標を達成する必要がある場合は別の施策を考える必要があります。
広告でサイトへアクセスを集める
自然検索数を増やす施策は時間がかかり即効性がありません。
目標達成まであまり時間をかけられない場合、リスティング広告などを活用することで短期間で目標を達成させることもできます。
参考例の場合、自然流入数10,000件にリスティング広告経由5,000件を足すことで目標達成できることが分かります。
リスティング広告費用1クリック100円 5,000÷100=50万円
- リスティング広告施策のメリット
- 短期間で大きなアクセスアップが望める
- リスティング広告施策のデメリット
- ランニングコストがかかる
- 施策内容によってはイニシャルコストが大きくかかる
改善方法2:ランディングページの直帰率を下げる方法
ランディングページの直帰率を改善する方法について見ていきます。
ファーストビューを改善する
まずはランディングページのファーストビューを改善するようにしてみましょう。ファーストビューがユーザーの求めるものとマッチしていない場合は即離脱へと繋がってしまいます。
まずはランディングページのファーストビューで、ユーザーが求めている情報を明確に分かりやすく掲載する、キャッチコピー・写真などを工夫する、など離脱率を下げる施策は基本的に行うべきです。場合によってはABテストなど効果測定を行い最適なファーストビューになるよう繰り返し改善を行っていきます。
全体の構成を改善する
ランディングページ全体の構成を改善してみましょう。
ランディングページには効果的な構成というものがあり、ユーザーの悩み・問題提起、それに対する解決策の提示、商品・サービスのベネフィット、商品・サービスの実績や口コミなど第三者の声などの権威付け、などを構成に入れて効果的なランディングページとなるようLPO対策を行います。
改善方法3:回遊性を改善する方法
Webサイトの回遊性を改善する具体的な方法ですが、とにかくユーザーが見たい!と思うような情報をわかりやすく設置するようにしましょう。
たとえば、サイトのトップページの情報を充実させたり、記事ページに関連記事や人気記事のリンクを設置したりするようにします。
改善方法4:フォームを改善する方法
EFO対策を行いフォームを改善しましょう。
各デバイスごとに最適化されたフォームを用意するのはもちろん、ユーザーが入力に迷わないよう各項目に説明を記載したり、できるだけシンプルにしたり、入力必須項目をわかりやすくするバリデーション機能を付けるなど、EFO対策を行い最適なフォームになるよう改善を行います。
- フォーム離脱率を改善するメリット
- ランニングコストがかからない
- 根本的な施策なため、長期的に効果が見込める
改善方法5:コンテンツを改善する方法
サイト内のコンテンツの質を改善してみましょう。
具体的には、見出しと本文のメリハリを付けて一段落が適切な長さとなるよう文章を調整したり、画像などを用いて分かりやすくしたり、ストーリー形式にしてユーザーに訴求するなどして、ユーザーに選ばれるコンテンツになるよう改善を行います。
改善方法6:サイトの表示速度を改善する方法
サイト速度改善は、サーバー周りから、表示するHTML周り(フロント)など改善施策は多岐に渡ります。詳細についてはテクニカルな内容となるためこの記事では説明を割愛します。
Webサイト改善のまとめ
いかがでしたでしょうか。
Webサイト改善は闇雲に行ってもあまり成果が上がらないばかりか、無駄に予算がかかるケースも少なくありません。
どの方法が一番良いというものではなく、各改善施策を複合的に行っていくことが大切です。
よければご参考にしてみていただければ幸いです。