昨今、AIでイラストを生成できるAIイラスト生成サービスが続々と誕生しています。簡単にAIでプロみたいなイラストが作成できるサービスなのですが、「じゃあそれは何に使えるの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか?個人利用のみなのか、それともビジネス用途で商用利用可なのか、そこについて見ていきましょう。
AIイラストは商用利用もできる
まず大前提として以下があります。
他者の著作物を使っているかどうか、創意工夫性があるか
AIイラスト生成サービスを使うにあたって、まず必要になるのが「元のイラストや写真、構図などの指示」です。
AIイラストサービスの多くは、自分に著作権がある画像しか使っては駄目という利用規約があります。
当然自分に著作権があるイラストをどのようにしても、自分の自由なので、自分に創作性があり、著作権があるものを使用することついては商用利用が可能です。
いらすとやもAIイラストに
AIイラストサービスによって、それぞれ生成方法が異なります。
たとえばフリー素材で有名な「いらすとや」が、AIサービスの「AIピカソ」と連携しました。
本記事執筆時点ではサービスがベータ版でフリー素材の利用としての許可はまだ無いそうですが、今後ユーザーが作成した「いらすとや」風のイラストをフリー素材としてダウンロードして利用できるとのことです。
フリー素材なので、商用利用は可能になるでしょう。
著作権については、今の法律が追いついていない
現時点ではAIイラストサービスについての著作権については、法制度が追いついていません。
つまりグレーゾーンだと言うことです。
著作権についてはそもそも判断が難しいところも多く、基本的に著作権については、人が創意制作したものに限られる、という概念があります。
AIが作り出す絵を自分で細かくコントロールすることはできません。
そのため、AIが作り出した画像は著作物だと判断されない場合があります。
人間がどこまで関与しているかで著作権が発生する可能性がある
サービスによりさまざまかと思いますが、人間がどこまで関与しているかによって、それが著作物となるかどうかという判断があるようです。
参考:Midjourney、Stable Diffusion、mimicなどの画像自動生成AIと著作権
少ない情報や材料の「創作性が低い」ものから作られたAIイラストは著作物と判断されない可能性が高いです。
逆に、構図や、イラストの独自性など細かくAIに指示を出して作らせたイラストの場合、それは著作物だとみなされる可能性があります。
著作権が発生する場合は、誰が著作権を持つ形になるのか?
あるコンテンツに著作権が発生するか、及びだれが著作者かは著作権法上決まることであって、私人が勝手に著作権発生の有無や著作者性(原始的な著作権の発生源)を決定することはできません。
したがって、画像生成AIソフトウェアの利用規約で「このソフトウェアで作成された画像には著作権が発生します」とか「このソフトウェアで作成された画像の著作者はサービス提供者です」と記載されていても無意味です(「ユーザの下で発生した著作権がサービス提供者に無償で移転する」という建て付けは可能です)。
つまり、AIイラストサービス自体が著作者にはなりますが、AIが人間的創意工夫を行ったわけではないため、AIイラストサービス側が著作権を主張することは現行の法律ではできません。
著作権侵害に該当するかの見極めが困難
AIイラストサービスのイラストでは著作権侵害に該当するかの見極めがとても難しいです。
類似性についても、ただ作風や構図が似ているというだけでは、著作権侵害に該当することはありません。
イラスト元の逆引きができないことが多い
AIに多数のイラストを読み込ませ、それをさらにAIに読ませてイラストを作る、ということを繰り返し行っていた場合、元のイラストを特定することはほぼ不可能に近いです。
サービスによっては、どのような画像を使用したかを記録しており、元の著作権者を保護しようとしてはいますが、実際問題として、AIが作成したイラストについて、「これは自分のイラストをパクっている!」と断言できるケースはほとんどないかもしれません。
さらには、日本の著作権を無視した海外ユーザーなどが、日本の絵師が作成した画像を無断使用して、どんどんAIイラストを作成し、それがネット上に氾濫してくる。なんてことになれば、元の著作者を守るというのはほぼ不可能に近いのではないかと考えています。
AIイラストサービスは、他者の権利を侵害しないように、上手に利用しよう
AIイラストサービス自体は画期的なサービスです。
しかし、その反面、現行の法律が追いついていない部分が多く、これからどのようになっていくかもわかりません。
簡単にプロみたいなイラストを手に入れたい人にしてみればとても便利なサービスですが、
既存のイラストレーター・絵師を守っていく必要もあります。
AIイラストサービスを利用したい人は、あくまで他者の権利を侵害しない素材やアイデアでAIイラストサービスを利用するようにしたほうがいいですね。