キャッチコピーって大切ですよね。キャッチコピーを少し工夫するだけで売上が何倍にもなるケースもあります。
たかが文章を変えるだけで?と思うかもしれませんが、実に奥が深く一朝一夕に作れるものではありません。
そのため多くの人が何となく売れているキャッチコピーパターンに当てはめた、キャッチコピーを作ってしまっています。
もちろん、業界で売れているコピーの例を参考にするというのは前提レベルの話です。しかし、そのコピーをただ自社の商品名やサービスに当てはめただけでは意味がありません。
ジャジャーンのWebマーケティングでもキャッチコピー作りは重要視するようにしています。
今回はそんなキャッチコピーの作り方について見ていきたいと思います。
上司さん
ねえねえ、田中くん
今進めてるクライアント案件のキャッチコピーをちょっと考えてみたんだよね
田中くん
そうなんですね。
どんな感じのキャッチコピーですか?
上司さん
クライアントがうちと同じ制作系の会社じゃん?
だからうちの会社をイメージしてみてさ
お客さんに熱意が伝わるキャッチコピーが良いと思ったんだぁ
上司さん
だからこんなのどうかなあ?
5・7・5で読んでね
上司さん
「戦える。24時間、休まない。」
「支えます。価値ある残業、喜んで。」
「熱すぎる。あなたのために、熱我慢。」
「眠くない。カフェイン片手に、再起動。」
田中くん
……頑張ってる感は凄い伝わりますね
キャッチコピーとは
キャッチコピーは説明するまでもなく販促で最重要要素の一つです。キャッチコピーを変えるだけで、成約率・コンバージョン率が大幅に改善されるような事例は数多くあります。
キャッチコピーは、まずお客さんとなるユーザーの目に止めてもらうところからはじまります。
たとえWeb広告や、チラシ・看板などを見てもらえたとしても、目に止まらなければ意味がありません。
そのため、具体的なキャッチコピーテクニックを見る前に、考えておかなければいけない基本について見ていきましょう。
6W2Hを考えることがすべて
キャッチコピーを作るだけならそこまで難しくありません。
世の中にあるキャッチコピーに、自社の商材名を当てはめたりすれば、それだけでそれっぽいキャッチコピーが出来上がります。
でも本当にそれでいいのでしょうか?もちろんNoです。
仮に全く同じ分類の商品であっても、扱う商品・サービスの質、企業規模や商品認知度、ブランド力、資本力、すべてが異なるからです。
もし全く同じだったとしても同じやり方でやるような後発のやり方に意味はありません。
キャッチコピーは6W2Hで考えることが基本です。
6W2Hとは、「When(いつ)/ Where(どこで)/ Who(だれが)/ Whom(だれに)/ What(なにを)/ Why(なぜ)/ How(どうやって)/ How much(いくらで)」というビジネスフレームワークです。
6H2Hについて詳しくは以下をご参考ください。
5W1Hでは足りない
6W2Hが普及する前には5W1Hが主でした。
ちなみに5W1Hは、「When(いつ)/ Where(どこで)/ Who(だれが)/ What(なにを)/ Why(なぜ)/ How(どうやって)」になります。
いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どうやって、を考えるだけでは足りません。
6W2Hは、5W1Hに比べて、「Whom(だれに)」と「How much」が追加されています。この2つはとても重要です。
もちろん他の要素が抜けていて良いわけではありません。
多くの方が、キャッチコピーを作る時に「だれに」「なにを」「どうやって」しか考えていない場合が多いのではないでしょうか?
しかしそれだけで、多様化した現在で通用するキャッチコピーが作れるとはあまり思えません。
正しいキャッチコピーの作り方
それでは具体的にキャッチコピーについての作り方について見ていきましょう。
キャッチコピーを作る際のよくある間違え方についても解説しています。
流れとしては、6W2Hをベースに、連想ゲームのように考えていくようにします。
6W2Hでキャッチコピーを考えることで、抜け漏れのないキャッチコピーが出来上がります。
キャッチコピーを作る前に
キャッチコピーを作る前に、まずは自社商品の強みや弱み、競合分析などを行なっておきましょう。
自分商品・サービスの強み・弱みはもちろん、競合の商品・サービスの強み・弱みが分かっていないと戦えるキャッチコピーを作ることができません。
少なくとも3C分析やSWOT分析は事前に行なっておき、提供できるベネフィット・価値を洗い出しておくようにしてください。
いつ(When)について考える
まずは、いつ顧客に価値を提供するのか?について考えてみましょう。
市場や顧客のニーズは「いつ」によって大きく変わってきます。
季節によって商品の訴求内容が変わるように、競合のサービス内容や価格、市場の値も、時期・時間によって変動します。
どんなに優れたキャッチコピーでも、一生使い続けられるわけではないということを覚えておきましょう。
田中くん
常に顧客ニーズの調査、市場・競合の動向を観察してキャッチコピーを考えることが大切ですね
いつ? を考えることで使えるフレーズ
いつ価値を提供するのか?によって、キャッチコピーで有効な文言もあります。
たとえば、
- 期間限定!◯月までの販売!
- ◯時までタイムセール!〇〇全品ポイント10倍!
- 火曜日限定オープン!
- キンキンに冷えてやがる〜!暑い夏こそまずは生ビール!
など、期間限定や、季節によって訴求を考えてみましょう。
どこで(Where)について考える
次に、どこで顧客に価値を提供するのか?について考えます。
「どこ」というのは地理的な場所のみのことではなく、市場・マーケット、海外か国内か、国内であれば都道府県に限定するのか、もっと絞りこんだ地域限定にするのか?などを考えます。
どこで?を考えることで使えるフレーズ
どこで?を考えることで、以下のようなフレーズやアイデアが使えるようになります。
- 〇〇市にお住まいの方限定!
- 〇〇会員限定!
- 全国配送無料!
- 渋谷店限定販売!
- 地域の方言を使った訴求
- 地域ブランドを使った訴求(例:北海道→環境が良く食べ物が美味しいイメージ等)
上司さん
自分の住んでいる地域名がフレーズに含まれていたら思わず目が止まっちゃうよね
だれが(Who)について考える
だれが、キャッチコピーを考えているのか、だれが価値を提供しているのか?について考えます。
だれが?については、キャッチコピーを考えた人のみではなく、そのキャッチコピーの決裁者も含めるようにして考えることが大切です。
よくある間違ったキャッチコピーが出来上がる例として、社内でターゲット年齢層に近い社員がキャッチコピーを考えたのに、上司のアドバイスや指摘で、キャッチコピーの表現が変わったものになってしまう、といった場合です。
たとえば、ターゲットの属性が、20代・女性であったのなら、キャッチコピーを考える人間も同じく20代・女性のほうが、よりターゲット層に響くキャッチコピーになる場合が多いです。
田中くん
ターゲットに近い年齢や性別・職業の人のほうが、よりターゲットに響くキャッチコピーを思いつくかもしれませんね
だれが?を考えることで使えるフレーズ
だれが?を考えることで、以下のようなフレーズやアイデアが使えるようになります。
- 社長独自が考案・開発!
- 女性社員30名が徹底的に考えた!
- 制作実績300件以上!の〇〇が提供!
- 開発部総動員で研究・開発した!
- 30年トイプードルと向き合ってきた獣医が勧める!
- プロがイチから手作りで制作!
だれに(Whom)について考える
だれに価値を提供するのか?について考えます。
だれに?を考えることは、あまりも基本であり重要なため、すでに商品・サービス開発段階で十二分にターゲティングをされている場合も多いでしょう。
キャッチコピーの使い分けをする場合、だれに?の部分を変えることでより絞った表現のキャッチコピーをいくつも作ることができます。
だれに?については重要なので少し深堀りしたいと思います。
ターゲットのニーズ・ウォンツを考える
顧客にはかならず何かしらの欲求があり、それら欲求を解消するために、あなたの商品・サービスがあります。
マズローの欲求5段階説が有名です。
まずはあなたの商品・サービスについて、ユーザーの欲求段階はどこに位置するかを再確認してみましょう。
マズローの欲求5段階説は上記のようになっており、下にあるものほど基礎的欲求になり欲求度合いが強いです。上にあるものほど高次な欲求になります。
あたりまえですが、食欲や睡眠欲を満たせていない人の承認欲求が、食欲や睡眠欲より強いということはありえません。
田中くん
めちゃくちゃお腹空いて死にそうな時に、ドレスコードを気にしなきゃいけないフレンチとかを勧められても行く気にならないですよね
「安い・早い」の手軽な牛丼がいいです
上司さん
逆にデートとかで利用したいレストランとかを探している場合は、安い・早いで訴求するのは逆にマイナスポイントだよね
人は各欲求段階を経て、次なる高次な欲求を求めていくようになります。
キャッチコピーを考える時は、まずターゲットの欲求段階がこれらどこに属しているのかを考えてみましょう。
ペルソナ分析を行う
ペルソナ分析とは、あなたの商品やサービスを利用する「代表的なユーザー像」を設定する手法になります。
ユーザー像を、性別、年齢、家族構成、居住地、職業、年収、ライフスタイルなどの観点から、商品やサービスのターゲットユーザー像を構築します。
詳しくは以下をご参考ください。
ターゲットユーザーをとことん深堀りすることで、ユーザーの細かな欲求が見えてきます。
キャッチコピーはキーワードを絞りこむことで、そのキーワードにマッチングしたユーザーにとても強く響くようなキャッチコピーになります。
上司さん
ユーザーの職業や、ユーザーの具体的な悩みなどのキーワードで絞り込むといいね
入念にリサーチを行い、ターゲットに響くキーワードを考えましょう。
ターゲットをとことん理解した訴求を行う
有名なプレゼンテーションで、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が、iPodのプレゼンを行なった時に、以下のようなフレーズを使いました。
「1000曲をポケットに」
当時の音楽はCDが主であったので、1000曲もポケットに入れて持ち歩けるという表現はかなりユーザーに響くものでありました。
しかし、こういったわかりやすい表現がすべてのユーザーに適しているとは限りません。
よくある間違えた考え方で、とにかくわかりやすくすることがキャッチコピーでは大切、というものあります。
たしかに、もしiPodの訴求が「1000曲をポケットに」ではなく、「5GBの大容量です」であったのであれば、多くの人にはピンとこないかもしれません。
しかし、それはiPodがデジタル知識の無い多くのコンシューマ向けの商品であったからこそ適したキャッチフレーズであっただけで、同じような表現は多くの場合では使えないでしょう。
たとえば、デジタルオタクをターゲットにしたゲーミングPCなどの場合は、ジョブズのように「1000曲をポケットに」といった表現は適しておらず、単純にCPU、メモリ、グラフィックボードなど専門的なスペックについて示したほうがターゲットにはわかりやすく効果的である場合があります。
「わかりやすい」の定義はユーザーによって異なる、ということを覚えておく必要があります。
間違ったマーケッターで、シニア向けの商品はすべてシニアにも理解できる言葉にする必要がある、といった考え方を持っているマーケッターがいます。
しかし、実際には商品やサービスにより、専門用語を多用したほうがユーザーにとってわかりやすい場合もあります。
あくまで「わかりやすい」の定義はユーザーによって異なるということを念頭においておきましょう。
ターゲットは潜在顧客なのか、既存顧客なのか、見込み顧客なのか
顧客となるユーザーの段階によっても、訴求するべき内容は変わってきます。
たとえば、すでにあなたの商品のファンである既存顧客をターゲットとしたキャッチコピーを作る場合、ブランドイメージを下げるようなお得・お買い得系のキャッチコピーは響かない場合があります。
なぜなら、その顧客はすでにあなたの商品のファンであり、多少高くても商品を購入したい、むしろ高いほうがより良い商品であるだろう、と考えている場合が多いからです。
ありえない例ですが、アップルがプロユーザー向けの新PCを「今ならお買い得価格で提供!」なんてキャンペーンを打ち出して販売を始めたらどうでしょう。
アップルの新PCを期待していたプロユーザーは誰もががっかりしたり、残念な気持ちになるはずです。それは、たとえスペックが良かったとしても、です。
だれに?を考えることで使えるフレーズ
- 35歳子育て中の貴女に!
- 男性公務員限定街コン
- 今すぐ修理が必要な方に!最短30分で駆けつけます!
- できる男はみんなやってる〇〇!
- この痛車の塗装凄すぎワロタ!草
- これであなたもモデルのような体型になれるかも!
- 朝のメイク時間を15分も短縮する時短術!
- 初心者のあなたでも組み立て簡単ソファー!
事前に洗い出した商品・サービスのベネフィットを考えながら、ターゲットを絞りこんだキャッチコピーをいくつか考えてみましょう。
なにを(What)について考える
どのような価値を提供するのか?について考えます。
提供する商品・サービスについてのベネフィットは、すでに洗い出しているかと思います。
しかし、改めてキャッチコピーを考えることで、新たなベネフィットが見つかる場合もあります。この段階で改めて顧客が得られる価値・ベネフィットについて再度考えてみるといいでしょう。
田中くん
キャッチコピーについて深く考えることで、商品やサービスの新しい価値に気づけるかもしれません
なぜ(Why)について考える
なぜ価値を提供するのか?について考えます。
忘れがちなことですが、キャッチコピーを考える際にも重要になってきます。
たとえば、キャッチコピーを広告で使用する場合、必ずしも売上げアップだけが目的とは限りません。
商品・サービスによっては、ブランディング目的である場合も多いでしょう。
キャッチコピー作りは、目的によって2種類に分かれる
キャッチコピーには大きく2種類あり、イメージ的なキャッチコピーと、具体的に訴求するキャッチコピーがあります。
イメージ的なキャッチコピーというのは、テレビCMや動画広告など、短い時間でユーザーの記憶に残すことを第一に考える必要性のある媒体で使うキャッチコピーになります。
テレビCMなどでは、時間的な制限があるため、細かく訴求するようなキャッチコピーを作っても、そのすべてを目にしてもらうことは難しいです。
そういった場合は、まずは「認知してもらう」ことを第一に考える必要があります。声・音楽を使えるかどうかも大きな違いになります。
逆にWeb広告やチラシ、新聞などの媒体で使用するキャッチコピーは、ユーザーに長く目を通してもらえる場合が多いので、より具体的に訴求したキャッチコピーを考えるといいでしょう。
田中くん
テレビCMじゃないのに、テレビCMで使われているようなキャッチコピーを真似て作っても意味ないですよね
ブランディング目的ではないのに、大手のようなブランディング目的のキャッチコピーを使っても意味がありません。
なぜ?を考えることで、キャッチコピーの使い方も大きく変わってくると思います。
なぜ?を考えることで使えるフレーズ
商品の意義や、開発の苦労、どうしてもこの商品を広く多くの人に知ってもらいたい、といったビジネスの根幹となる思いを伝えるキャッチコピーを作ると効果的です。
- この味を一人でも多くの人に知ってもらいたいと思い、一般販売をすることを決めました
- 赤字覚悟のギリギリ価格です。返金保証もあります。それでも一度試してみてほしいと思いました。
どうやって(How)について考える
どのように価値を提供するのか?について考えます。
キャッチコピーは使う媒体によって適した文句は変わります。
先程の「なぜ?」にもある通り、TVCMや動画などで使うキャッチコピーはイメージ的な使い方となる場合が多いです。
紙媒体などを使う場合は、「このチラシを持参で500円OFF!」などといったキャッチコピーも作れます。
さらにメールマガジンなどで使うキャッチコピーであれば、件名の文字数なども考える必要があるでしょう。
各媒体の特性を理解して、キャッチコピーを考える必要があります。
上司さん
文字数は大切だよね
広告でも媒体ごとに文字数が決まっている場合が多いし
デザインの場合は訴求内容量との兼ね合いでデザインを考えなきゃだねえ
いくらで (How much)について考える
いくらで価値を提供するのか?について考えます。
商品の価値について、その対価をどのように設定しているか?を考えてみましょう。
いくらで?というのはただ顧客に提示する価格のみのことではなく、提供する価値に関するすべて金額について考えるようにします。
提供する価値の資金や経費、原価率などを考えてキャッチコピーを作ります。
無料の場合は、無料を大きく打ち出すといいでしょう。
金額についての訴求は、ターゲットニーズによって異なり、安いと思わせる訴求が効果的な場合と、高くても内容が優れている、と思わせる訴求とでフレーズが異なります。
いくらで?を考えることで使えるフレーズ
- 5月いっぱい送料無料!
- 業界驚愕!驚異の原価率50%
- 赤字ギリギリで提供!
- 一点も妥協したくない、、そのためこの価格にさせていただきました。
- 選ばれた人のみが手にできる価値〇〇
田中くん
キャッチコピーは、安い訴求だけをすればいいわけではないですよね
商品・サービスによっては、高いと思われる訴求のほうが効果的であったりもします
価値を伝えることが大切ですね
6W2Hを組み合わせてキャッチコピーを作る
キャッチコピーの作り方について解説してきました。
基本は6W2Hですが、各項目ごとにもっと深堀りしなくてはなりません。
大切なのは6W2Hを複合的に考えたキャッチコピーにすることであり、一部分のみを取り上げてキャッチコピーを作るべきではないことです。
たとえば、「いつ(when)」「誰に(whom)」「いくらで(How much)」のみを考えて以下のようなキャッチコピーを作って折込チラシDMを打ち出したとします。
「4月だけ!横浜市にお住まいの方限定!10%割引!」
しかし、もし競合となる同業者がWeb広告で「5月いっぱいまで!横浜市にお住まいの方限定!全商品2,000円引!」といった広告を打ち出していたらどうでしょう?
商材にもよりますが、後者のほうがユーザーにとって興味の湧く訴求文である可能性が高いです。
こういった失敗は、「どこで(where)- 市場・競合」「どのように(How)- 販促方法」をしっかりと調査して考えていないから発生する問題です。
もちろん、6W2Hを考えていることが大切であり、6W2Hに関連したフレーズをすべてキャッチコピーに含める必要はありません。
6W2Hを深堀してキャッチコピーを考えることで、最適なキャッチコピーを作ることができます。
よければご参考にしてください。