Webデザイン業界を目指す人の多くが、まずはWebデザインスクールで勉強をしてみようと思ったことがあるのではないでしょうか?しかし、巷ではWebデザインスクールは無駄だと言われています。今回はその問題と、その問題の本質について見ていきたいと思います。
まずは、はじめに
実際にWebデザインスクールはどのように思われているのか、忖度無しで見ていきましょう。
Webデザインスクールは無駄では無い
いきなり結論を言うようですが、Webデザインスクールは無駄ではありません。と言いますか、どんな習い事でも「習って無駄だった」ということはほとんどないのではないでしょうか?
それはWebデザインスクールも同じです。
Web業界や、デザインについての知識を学ぶことができるので、もしWebデザイナーにならなくてもスクールで得た経験が完全に無駄になるということはありません。
予算があって通えるなら通った方が良いと思います。ただ、お金があまり無いのなら、あるお金でMacBookとかを買ったり、デザインソフトを使ってみたりなどして、まずは自分でデザインを作るところから始めたほうが良いかな、というのが本音です。
ネット検索の情報はスクール運営元や、アフィリエイト目的の記事が多い
ひとつ注意してほしいのが、Webデザインスクールについてネット検索をすると、Webデザインスクール関係の会社の記事や、それらを紹介するために個人が書いてるアフィリエイト記事がとても多いということです。
アフィリエイトリンクを貼っている記事は、ネガティブ要素を書くことはあっても最終的には自分のサイトからリンクを踏んでほしいので、決定的となる本質については書いていないところが多いなと思いました。この本質については後述します。
これからWeb業界を目指す人であれば、このあたりの情報を見極めるリテラシーは必要です。
個人が運営しているサイトなどでも「このスクールはこちら」みたいなボタンやリンクがあるところの多くはアフィリエイトリンクを貼っていたりします。
見分け方はとても簡単で、リンクの上にマウスを乗せるだけです。
アフィリエイトリンクが貼ってある場合はリンクを見ればアフィリリンクなのかが分かります。
以下Chromeの場合です。リンクにマウスカーソルを合わせるだけでASPのドメインが表示されます。
アフィリエイトが悪いわけではありませんが、どうしても偏った内容になってしまっているのでは?と情報に疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。これらの記事のどこもが触れていない本質について後述します。
なぜWebデザインスクールは無駄だと言われるのか?
そもそも無駄だと言われる意見がが多いため、この記事を書いているわけなのですが、それでは、なぜWebデザインスクールは無駄だと言われているのかについて、よく言われている内容について見ていきたいと思います。
Webデザインの勉強は独学でできるから
これが一番多い理由でしょう。巷にはWebデザインの方法を教えているネット記事や書籍がたくさんあります。
独学でも学べるんだからわざわざスクールに行く必要は無い、と考える人は多いです。
プラグラミングもWebデザインも、まずは独学ではじめられる人でなければ続かないと言われているからです。
Webの世界は変化が激しく、一年経てば一年前に学んだ情報が古くなっている、なんてことはざらにあります。
スクールに通っているうちは、「お金を払っているんだからやならきゃ」という気持ちが働きますが、社会に出てからはそういうわけにもいきません。
実際の現場では常に自分でWebデザインについて学び、それをクライアントに提案できるようにならなければならないからです。
スクールに通っても職歴がなければ就職できるとは限らないから
Webデザインもプログラミングも実力で判断される世界です。たとえスクールを卒業したという経験があったとしても実際の職歴がなければ採用してくれないところも多いです。
ただ、スクールによっては職歴ともみなされるくらい実戦的なとこまで教えてくれるところもあります。そのあたりはしっかりとスクールを見極める必要があります。
受講料が高いから
スクールは受講料が高いという意見も多いです。しかし価値観は人それぞれですし、スクールで学んだことを活かして受講料をすぐに回収できた、という人もいるでしょう。
個人的には受講料のコスパは人それぞれなので、「無駄」とはならないと思います。
すでにデザインができる人からしたら無駄になるかも
すでにAdobeのPhotoshop、Illustrator、XDなど、デザイン系のソフトでデザインの制作経験がある人などからしたら、わざわざスクールに通ってもメリットが少ない場合が多いです。
Webデザインスクールがおすすめな人
次にWebデザインスクールがおすすめな人についてみていきましょう。
全くの未経験だからまずは経験してみたい、という人
全くの未経験で、まずは経験をしてみたいという人にはWebデザインスクールはとても良いと思います。実際には経験してみないとわからないことが多いです。
「絶対にWebデザイナーになるぞ!」と意気込んでスクールに入るより、「まずは経験してみよう!」というスタンスのほうが気持ち的にも楽で続きやすいかもしれません。お金はかかりますが、、
いち早く実戦的な知識・スキルを身につけたい人
独学より人に教えてもらったほうが上達スピードが速いのは言うまでもありません。
Webデザインスクールの場合、独学で学ぶ期間より速くスキルを身につけられるでしょう。
現場的なスキルを身につけたい人
プログラミング学習なども同じですが、1人で独学でやっていると、どうしても個人のやり方というものが癖づいてしまい、実際の会社ではその癖が実務の邪魔になる、ということは少なくありません。
最初から最後まで自分ひとりでWeb制作を行うのであればそれでいいかもしれませんが、ほとんどの会社だとチームで制作となるでしょう。
その場合、独学では学べないことをWebデザインスクールでは教えてくれたりします。
就職をサポートしてほしい人
Webデザインスクールの中には就職をサポートしてくれる会社もあります。就職したいのか、副業としてはじめたいのか、など、まずは自分がどういった目的でスクールに通いたいのかを考えるようにしましょう。
Webデザインスクールが無駄だと言われる本質について
それでは、Webデザインスクールが無駄だと言われる本質について、現場の人間の立場から見ていきましょう。
アフィリエイトリンクを貼っているわけでも、スクールに忖度しているわけでもないので本音で書きます。
そもそも「独学では無理」という人は続かない
「独学では無理そうだからスクールに通った」という人も多いですが、本当に独学が無理な人はおそらく卒業しても難しいことが多い印象です。
なぜなら、結局はスクール卒業後ずっと「独学」をし続ける必要があるからです。
「独学は挫折しそうだからスクールに通おう」と思っても、後々ずっと独学を続けなければいけないのです。
どの職種も同じだと思いますが、「学校を卒業したから大丈夫」とか「資格を取得したから大丈夫」というものではありません。
Webデザイナーという「資格」はありませんが、例えば、美容師免許や調理師免許などの国家資格でも、取得したからそれで食べていけるというわけではなく、その後もひたすら研鑽し続ける必要があります。
料理が嫌いな人が仕事が欲しいというだけで調理師免許を取得してもおそらく続かないのと同じで、デザインもデザインが好きでなければ続きません。
そして、本当にデザインが好きな人はおそらく1人でも何かを作っているでしょう。
スクールで学んだ経験や知識だけで、現場で活躍できるのかといったら難しいとしか言えません。
Webの世界は毎年のように技術やトレンドが変わります。
いままでの技術や知識がすぐに古くなってしまう、ということが多いです。
スクールで学んだことにプラスして、「自分で学んだ自分のデザイン」を肉付けしていける人でなければ、実際にデザインの現場に立っても辛い経験をする、ということが多くなってしまうかもしれません。
参考:【投票】プログラミングは独学で十分?スクールに通ったほうが良い?
独学でデザイナーになっている人は多い
ネットを見ていると「独学でWebデザイナーになれるのは一握り」、「独学でWebデザイナーになれるのは天才」と書かれていますが、どこの誰が統計を取った情報なのか疑問に思います。
実際には独学でWebデザイナーになっている人は多い印象です。
デザインの世界は提案力が何よりも重要
デザインの世界では、「なぜそのデザインにしたか」を自分で説明できなければいけません。
この点だけ見ればスクールに通ったほうが実戦的なことを教えてもらえるかもしれません。
ただ実際にはデザインとは奥が深いもので、クライアントの目的・意向・嗜好を研究して作らなければなりません。
クライアントは何が好きで、何を求めているのか?、時にはクライアントの嗜好に反する形になってしまったとしても、自分が思うクライアントの利益を考えたデザインを提案しなければならないでしょう。
スクールでは実際の顧客と接してやり取りをするということがありません。
まずはデザインソフトの使い方を覚え、後はひたすら作って・提案・改善、を繰り返すのが一番速いデザイン上達方法かもしれません。
最近では経験ゼロの職人が握るお寿司屋さんに行列ができるということもあるくらいです。
スクールで学ぶ域を出て、自分が考えるベストを提案するには、スクールで学んだことに縛られないことが大切でもあるかもしれません。
なんだかんだでデザインセンスで判断されることが多い
厳しい現実ですが、結局はデザインセンスで判断されることが多いのがWebデザイナーの世界です。
経験ある先輩のデザインより、センスがある後輩のデザインが選ばれる、ということも多々あります。
この現実から目をそむけているネットの記事が多いです。
ちなみに「デザインセンス」というのは「生まれ持った才能」というだけではありません。
もちろんそういった天性の感性も大切ではありますが、デザインセンスというのは先方の意思をいかに汲み取ったデザインが作れるか、という考える力も含まれます。
ここは綺麗事では語れません。
デザインがうまい人は常にアンテナを張り、インプットとアウトプットを繰り返しています。
もともとデザインが好きだというのもあるでしょうし、どういったデザインが良いのかを常に考える力がある、ということでもあります。
これはスクールに通ったからといってそう簡単に身につくものではありません。
実際にはWebデザインを始めて挫折や苦悩を感じる人もかなり多いです。
スクールに入ってから後悔するより、まずは独学でいろんなWebデザインを作ってみる、ということが大切なように思います。
参考:「デザインセンス」は才能ではなく「ロジカルシンキング」と同じ「結果を出し続けられるデザイン」を身につけるために解くべき5つの誤解
まとめ
Webデザインスクールについて否定的な内容が多い記事となってしまいましたが、Webデザインスクールは無駄ではありません。スクールはメリットがたくさんあります。ただメリットについて書いてる記事はネットにたくさんあるので、ここではあえて別の視点で書きました。
大切なのは自分にあったスクールに通うということです。
そして、独学もする、ということ。
「スクールに通えば大丈夫」、「独学は挫折しそうだからスクールに通おう」と安易に考える人は後で挫折する可能性が高いです。
よければ参考にしてください。